2017年4月12日水曜日

Pastorella Spera Spera


20170412-IMG_3553-Edit



20170412-IMG_3557-Edit


イラストレーターY・FUKUNAGAこと福永由美子さんの便せんを長く愛用しています。
これはずい分前のものです。
上が表紙で、下が便せんです。
描かれている音符については何も知ろうとしなかったのですが、
昨夜、久し振りに取り出して眺めながら音符をハミングしてみると、
ちゃんとした曲のようではありませんか。
YouTubeで探したらありました!
イタリアの歌で、可愛らしい少女が歌っているのが見つかりました。

Pastorella Spera Spera(M.A.Bononcini)
「羊飼いの娘よ 希望を持ちなさい」
という意味だそうです。
何だかとても嬉しい発見でした。







未明から雪が降りだしてあたりはまた真白になりました。
フワフワ フワーリ 白い花びらが舞っています。

2017年3月9日木曜日

悲愴

25年通った病院で5人のドクターにかかったが、残念ながら病状に改善が見られないため思い切って止めて別の病院へ移行することにした。
カウンセリングや薬は出来るだけ出さない治療で定評のある、この病院のドクターに、私は一縷の望みを託すことにしたのだ。
新しいドクターに私の事を良く知ってもらい、正しい診断を導き出していただけるよう、前もって35年間の経緯をノート4面にまとめて持参した。
診察までの長い時間は不安で落ち着かなかった。
名前を呼ばれ診察室に入ると、ドクターはあらかじめ私の資料に目を通しておられたようで、開口一番
「うーん非常に難しいですねぇ」「双極性障害ですよ」「ここで出来ることはこの状態を保ち、これ以上悪くしないようにする事だけです」
「双極性はうつの親戚と言われてきたが、全く別の脳の病気、カウンセリングでは治らない。薬です。開発中ですが、いつできるかわからない」
(悪い事に私には薬アレルギーがあり、過去2回入院し死にかけた経験がある)
「期待はしない方がよい」「前の病院に戻ることも良いのでは」と。

それではもう私を受け入れてくれる場所はどこにもないのか?どこに行けというのか?
改めて治る見込みなしと宣告されてショックを受けた。
寂しかったそしてとても悲しくなった。

病院から帰ってきた。1日がかりの病院、私はとても疲れていた。
ベートーベンピアノソナタ「悲愴」が聴きたくなった。
29歳のベートーベンが、作曲家として致命的な難聴という病になった頃作曲された曲だ。
大空に暗雲をおき、涙の雨が時に激しく、時にやさしく深い悲しみの旋律を奏でている。
まるで、はるか彼方にある天の父と地上にある人間が呼応しているようだ。
自分の過酷な運命を嘆くだけでなく、全人類の普遍的な苦しみを描いており、非常な美しさとあたたかさに満ちている。
ああ! なんと崇高なベートーベンの精神よ!

20歳の頃、私は父を誘って父娘でウィルヘルム・ケンプのベートーベンのコンサートに行った。
その時、ふと父を見ると、ケンプの弾くピアノに感動し目に涙が溢れ頬をつたい落ちている。
父が泣いているのを見たのはこの時1回だけである。
この4年後、父は急死するのだが...
父は晩年、病などの苦しみを抱えて心が荒んでしまっていた。
しかし、この時固く閉ざした心の扉に神様が憐みをもってやさしく触れ開いてくださったのだと思う。
その時流れていた曲もきっと「悲愴」であった。
そんな気がしてならない。



ベートーヴェン ピアノソナタ8番 悲愴
Eric Heidsieck エリック ハイドシェック
ベートーベンの曲に込めた思いを深くくみ取った、清潔で気高く端正な演奏だと思います。























3月15日 追記
アンティークパストラーレでは3月14日~4月4日まで2周年のセールを開催中です。
期間中5%~最大60%OFFとなりますのでこちらも是非ごらんくださいね。
http://www.antique-pastorale.com/


2017年1月21日土曜日

カラマツの姿


20年ほど前のある冬の日、まだうつ病の症状の軽かった頃のお話です。
雪で真っ白になった道を気の向くままに歩いていきました。
ゆるやかな坂をゆっくり登って行き、ひと息ついて振り返ると、下の方にカラマツの林が見えました。
太陽の光を受けてキラキラ輝いていました。
私はその美しい光景に心を強く打たれたのです。
「なんて美しいんだろう!!」と、
大地にしっかり根をおろし、天に向かって真っすぐに立つ様は誇らしげで神々しくさえありました。
この子達は自分でここに来たいと思って来たのではありません、人がここに植えたのです。
なのになぜこんなに美しいのでしょう。
それはもしかすると、思い通りに行かなくても、良くなる事を信じ、精一杯に成長した姿だったからではないでしょうか。

うつ病と診断されて25年たちました。
折に触れてつづった私のノートはどこのページを開いても
「苦しい」「つらい」「疲れた」の文字が書かれています。
私の人生の半分をうつ病という影がおおっています。
これはいったいどうしたことでしょう。
神様は、人の目にはどう見ても悪いと思える、やりたくない宿題を出されます。
でもそれは愛する我が子のためにそうされるのです。
その宿題をお受けして真剣に取り組んだ人は、人の痛みに寄り添うことのできる人に一歩づつ近づかせていただけるのです。
それはイエス様の香りをまとった内面の美しい姿です。
そんなことも忘れて、なんと長い年月、私は神様の宿題から学ばなかったことでしょう。

自然は神様のことを沢山語ってくれています。
私はあの美しいカラマツたちのことを思い起こそうと決めました。
神様の宿題。
たとえ苦しくてもそこに居なさいという所に居、やりなさいという事を精一杯することを。
『神さま、あなたは私にはできると信じておられるのでしょうか、私にそれができるよう助けてください』
人生最後の日に振り返って見るときに、私という木が天に向かって美しく輝いていることを夢見ながら。


シベリウス 作品75《樹の組曲》より 第5曲 樅の木  ピアノ 舘野泉

2017年1月12日木曜日

公現節


あけましておめでとうございます。
今年初めてのブログ更新となります。
健康に留意して少しでも沢山のブログを載せたいと思っています。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

20170108-IMG_3072


公現節はイエス様がお生まれになった時、東方から3人の賢者がそれぞれ贈り物を持ってイエス様のもとを訪れた記念の日。
みんなでささやかなお祝いをしました。

20170108-IMG_3071

20170108-IMG_3089

息子が作ってくれたガレットデロワ(賢者のお菓子という意味)は、
中にアーモンドクリームをはさんだ素朴な味わいのパイです。
アンティークのカミラでいただきました。
とってもおいしかった。

20170108-IMG_3067

食器には細かな貫入やひび、小さなかけ等もありますが、年を重ねたおばあさんが語りかけてくるような、あたたかいぬくもりが感じられるようで大事に使わせてもらっています。

今年の冬は特別寒いような気がするのですが、
長くて暗いトンネルのずっと向こうにポツンと小さな光が見えるようです。
菫、鈴蘭、たんぽぽや桜と薔薇たちのかほる春が待っています。