2017年1月21日土曜日

カラマツの姿


20年ほど前のある冬の日、まだうつ病の症状の軽かった頃のお話です。
雪で真っ白になった道を気の向くままに歩いていきました。
ゆるやかな坂をゆっくり登って行き、ひと息ついて振り返ると、下の方にカラマツの林が見えました。
太陽の光を受けてキラキラ輝いていました。
私はその美しい光景に心を強く打たれたのです。
「なんて美しいんだろう!!」と、
大地にしっかり根をおろし、天に向かって真っすぐに立つ様は誇らしげで神々しくさえありました。
この子達は自分でここに来たいと思って来たのではありません、人がここに植えたのです。
なのになぜこんなに美しいのでしょう。
それはもしかすると、思い通りに行かなくても、良くなる事を信じ、精一杯に成長した姿だったからではないでしょうか。

うつ病と診断されて25年たちました。
折に触れてつづった私のノートはどこのページを開いても
「苦しい」「つらい」「疲れた」の文字が書かれています。
私の人生の半分をうつ病という影がおおっています。
これはいったいどうしたことでしょう。
神様は、人の目にはどう見ても悪いと思える、やりたくない宿題を出されます。
でもそれは愛する我が子のためにそうされるのです。
その宿題をお受けして真剣に取り組んだ人は、人の痛みに寄り添うことのできる人に一歩づつ近づかせていただけるのです。
それはイエス様の香りをまとった内面の美しい姿です。
そんなことも忘れて、なんと長い年月、私は神様の宿題から学ばなかったことでしょう。

自然は神様のことを沢山語ってくれています。
私はあの美しいカラマツたちのことを思い起こそうと決めました。
神様の宿題。
たとえ苦しくてもそこに居なさいという所に居、やりなさいという事を精一杯することを。
『神さま、あなたは私にはできると信じておられるのでしょうか、私にそれができるよう助けてください』
人生最後の日に振り返って見るときに、私という木が天に向かって美しく輝いていることを夢見ながら。


シベリウス 作品75《樹の組曲》より 第5曲 樅の木  ピアノ 舘野泉

6 件のコメント:

  1. カラマツの話、感動を持って読みました。
    「神様の宿題」・・・私は今、「なぜ自分はこんな病になったのだろう」「なぜ自分の人生は、こうも辛いのだろう」と人生を嘆き、悔やみながら生きています。三浦綾子さんのように「病をも賜物にして」という気持ちにはなれないのが正直な気持ちです。
    そんな私ですが、それでも一日一日を精一杯、悔いないように生きていきたいと思っています。そうやって生を全うすることが「神様の宿題」に対する答えなのかもしれませんね。

    不快な思いをさせてしまったら、申し訳ございません。
    大堀さんもお身体に気を付けて、無理なさいませんように。

    北の音人

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    1. 頭の中が、くぐもっていて、何も考えることができません。お返事を書きたいですので少しお待ちくださいね。不快な思いなどしていません。嬉しかったです。

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    2. 大変遅くなって申し訳ありません。やっと書けるようになりました。


      「私は毎日、精一杯生きたいのに、なぜ今日も明日も明後日もただ寝ているだけ?

      一日を終えて、成し遂げたものが何もない。誰か私をこの苦しみから救ってほしい。
      もしこんな一日に何か意味を持たせるとしたら、何があるのだろう。

      そう、そんな日は『苦しんだ』だけで精一杯生きたのではないか、それで十分ではないか」


      なぜこの病気になったのか、なぜ苦しんだのか、それは私が天国に行ったときに神様が教えてくださるでしょう。


      いつも私のブログを読んで私の目線まで下りてきて、やさしく温かいコメントをくださる北の音人さんに感謝してこの言葉を送ります。


      「どんなに教養があって立派な人でも
      心に傷がない人には魅力がない。
      他人の痛みというものが分からないから」
      フジ子・ヘミング

      「夜通し泣き明かす事があっても朝には喜びが訪れます」 聖書

      そして、朝はそんなに遠くないと信じています。
      苦しくても誠実に生きようとしている音人さんのような人がいることに励まされます。
      私も「病を賜物として」とは思えなくても
      来月ともなれば南の方から明るい光の便りが押し寄せてくるということはわかります。
      どうか、音人さんに喜びも一緒に訪れますようにお祈りしております。

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  3. ご無沙汰しております。
    ここ数日は暖かくて、何だかウキウキしてしまうような陽気です。
    近い内にお便りいたしますね。


    やっぱり冬と云えばシベリウスですね。

    カラマツ。。植物の生きようとするエネルギーはものすごいもので、
    環境に適していなければ、適するように、変化を遂げて行くものだそうです。
    そうして生き残ったものが今現在の姿。。

    人が植えたものでも、エネルギーを蓄えていて、日々成長して行く姿は心打たれるものでしょう。

    私たち人間も素直に強くありたいものですね。

                            くらら

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    1. くららさん こんにちは!

      遅くなって申し訳ありませんでした。
      やっと書けるようになりました。

      そうですか。そちらではもうウキウキするほどの光が降り注ぐ日があるのですね!

      以前、町で知らない人とお話したら、その方は、北海道と九州に家を持っていて、
      暑いときは北海道、 寒いときは九州で生活しているそうです。
      そんなことができたらいいなと思いますが、
      寒さと引き換えに、凛とした美しさもある北海道の冬ですから、我慢しなければいけませんね。


      シベリウス。
      実は、「フィンランディア」くらいしか知らなかったのですが、
      舘野泉さんのピアノを通して 可愛い小曲に出会うことができました。
      楽譜も取り寄せましたので、具合がよくなったら弾いてみたいです。
      (簡単な曲だけですけれど....)

      でも、いつ元気になるか、わからないのが問題ですね。
      前回、病院へ行ったとき、ピアノを弾きましたと言ったら、
      先生が驚いていました。

      クララさんのお便り、心待ちにしております。

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